
両親が「大学の学費って私たちの頃よりも高い」と言っていた。確かに大学の学費が高すぎる。大学はどうして学費を上げ続けるのだろうか?
こうした疑問に答えます。
本記事の信頼性

学生時代、大学の学費が高すぎることに疑問を抱きいろいろ調査をしてみました。実際に大学にも、学費について問い合わせをしたりもしました。そこで得た情報を今回は惜しみなく公開していきたいと思います!
私立文系大学の学費は初年度100万円越え
文部科学省が出している「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立文系学部の大学の学費は初年度100万円越えしています。

「授業料」「入学料」「施設整備費」、大学には様々な「名目」でお金を徴収していることがわかります。
大学の学費について、世の中の人はどう思っている?
学費は高いのか。妥当なのか。安いのか。
もちろんこれは個人の金銭感覚や環境によって変わってくるでしょう。しかし、多くの人は学費が高いと感じています。
日本生活協同組合連合会が2016年度に公表したデータによると、私立大学の学費について「高い」、「やや高い」と回答している人の合計が92%に上っています。
Twitterのツイートも見てみましょう。
これを政治を救えないんだったら、いますぐ総退陣してほしい。https://t.co/liaBHcIeFq
— 津田大介 (@tsuda) April 22, 2020
びっくりするんだけど、こんな状況でも大学の学費って変わらないんだね。どう考えても学生は例年通りの大学生活を送れないのに。
— 古市憲寿 (@poe1985) April 14, 2020
国立大学の院生ですが、ただでさえ学費が高いばかりに進学もあきらめかけた。バイトも減り、研究に必要な本も買えないし図書館が閉まっているので読めない。冗談でなくこのままでは将来日本のアカデミアは死ぬと思います。#大学院生の声
— かどの (@biscuitfortess) May 7, 2020
コロナ禍の状況でも、大学は学費の値下げ等の対応をせず話題になったことは記憶に新しいです。
日本の大学の学費が高いと思われる理由
下記理由は、いわゆる一般論です。
①世帯年収減少にも関わらず学費が上昇傾向
日本の世帯年収は減少傾向!
引用:世帯平均所得は552万円…世帯あたりの平均所得金額推移をグラフ化してみる(最新)
上記グラフを見ていただけたらわかる通り、世帯年収が減少傾向にあります。
世帯年収は減っていることに加えて、税金や社会保険料は増加傾向です。
大学の学費は上昇傾向!
引用:70年あまりにわたる大学授業料の推移をグラフ化してみる(最新)
学費がすさまじいカーブを描いて上昇していることが分かるかなと思います。

世帯年収は減少傾向なのにも関わらず、学費はそれに反比例して上昇。大学の学費が高いと感じてしまうのは当然です。
②国からの支援が諸外国と比較をして少ない
下記のグラフを見ていただくと明らかですが、日本という国は諸外国と比較して「教育」に対する支出が多くありません。
国からの援助が少なければ、大学側は運営に要する費用を学費に転換して賄おうとするのではないでしょうか?
結果、学費は上昇します。
学費は何に使われているのか
私立大学の学費は一人当たり年間約100万円。これだけの学費を、大学はいったい何に使っているのだろうか。いろいろなことに投資していますが、一番大きな割合を占めていたのはこれでした。
人件費の割合ってこれで妥当なの?
データがあります。これを見てください。
引用元:2018(平成 30)年度 学校法人中央大学事業報告書
大学の主要な収入である学費の約7割が人件費で消えています。
人件費/学生生徒等納付金で出される人件費依存率は、2014年度から一貫して70%越え。
少子高齢化によって若者は減少し、大学の定員割れも問題化している中でこれは大学の経営上危険な状態といえます。
大学の学費は今後ますます上昇する!?
大学生が減少して学費収入が減少するにも関わらず、人件費が変わらなければ収入と支出のギャップは拡大し、そのギャップを埋めるために大学生の学費はさらに上昇する可能性があります。
【コンサルタントコラム】学校法人における人材育成(2012年) – なぜ大学の人件費改革は困難なのかによると、日本私立学校振興・共済事業団が平成20年に行った「学校法人の経営改善方策に関するアンケート調査」では、69.5%(回答190法人)の大学が「給与(手当を含む)・賞与の削減」を課題として挙げています(この項目が課題の第1位)。
実に7割の大学が、経営改善のために給与・賞与の削減を考えています。
一方で同調査は、給与や賞与の削減に取組んでいる大学が31~36%程度に止まっていることを示しています。
つまり、大半の学校法人では、給与や賞与の削減が必要だということは分かっているが、なかなか改革に着手できないと指摘しています。
と、一学生からは映ります。
学校法人会計における 2018(平成 30)年度の決算概要によると、学生からの学費で徴収した学費は約350億円ですが、人件費での支出は約250億円となっています。

ちょっと高すぎる気がします。
そしてその高い人件費が、学費で賄われているように映りますね。
1000RT:【経営難か】東京女子医大、学費を6年間で計1200万円値上げの動きhttps://t.co/ZgxkbAH6Og
広報担当者によると、年間200万円の施設設備費の項目が新たに加わったという。値上げの詳しい理由は明かされていない。 pic.twitter.com/PmuDxbSZfh
— ライブドアニュース (@livedoornews) September 27, 2020
大学の経営悪化で直ぐ値上げ。何の工夫も無いですね。やっていることは国家と一緒です。
参考:一般企業の人件費率は20%弱
もちろん、事業内容が異なるため単純比較はできませんが、一般企業の人件費率は20%以内で落ち着いています。
引用:売上高人件費比率
大学の人件費率がいかに高いことが分かります。
僕が在学中もしれっと学費が上がっていた
ちなみに、僕が通っている中央大学も2014年度から2018年度の学費を比較すると5%も上昇しています。年間5万円前後の値上げですね。
この点を中央大学の経理課に問い合わせをしてみた結果を皆さんに共有します。
Q.そもそも論として、学費が上昇傾向にある理由は何なのか。2014年度と2018年度を比較すると学費が5%上昇しています。これは学生の人数が変動していることが理由でしょうか。(調べても2019年度の在学生数しか出てこなかったので)
A.教育研究環境の国際化・ICT化等が急速に進展している現下の状況においては、社会から大学等に求められている機能等(ソフト・ハード両面)も高度化が進んでおります。
これらに対応し、世界に存在感のある大学として、その機能等を充実させていくための財源を確保するための一つの手段として、学費の見直しがあると言えます。
皆さんはこの回答に共感できますか?

僕は納得できません。そんなことを言ったら、学費は無制限に値上げされ続けます。
まとめ
今回は「今も高いのにさらに大学の学費が値上げ!?大学に問い合わせをしてみた結果」というテーマで記事を書きました。
・大学の学費は世帯年収が減少傾向であるにもかかわらず、毎年上昇傾向にあること
・大学の学費の多くは人件費で消えていること
・今後も学費は上昇する可能性が十分あること
ということが分かりました。
厳しい世の中です。国からの支援も、期待ができないため、自分たちで高額な学費に備えるしかなさそうです、、、
今回は以上です。
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